骨美容®︎(ほねびよう)のこと。ゆりクリニック

港区田町駅前のゆりクリニック院長のブログです。

震災と神谷恵美子の『生きがいについて』

月曜日に起こった近畿地方の大きな地震では、たくさんの方々が被災され今も不自由な生活をされていることと思います。

 

5月のNHK Eテレの「100分で名著」は神谷美恵子の『生きがいについて』でした。

神谷美恵子精神科医師で母校の先輩です。私がまだ20代だった頃に『こころの旅』とこの『生きがいについて』を先輩に薦められて読み、深い感銘を受けました。それからなんども引越しをして、古い書籍はリサイクルに出して処分していましたが、この2冊だけはいつでも手元に置いておきたい本として大切に取ってありました。

番組では神谷美恵子が『生きがいについて』を執筆するにあたり、ハンセン病の療養施設で暮らす患者たちと接することで、自分が考えてきた「生きがい」についての考えをまとめ上げる過程を、批評家・随筆家の若松英輔さんが細やかに解説していました。若松さんは東日本大震災の後、堪え難い試練に直面した人たちが、どのようにして立ち直っていくかを考える中で『生きがいについて』を読み返したとのことです。

 私もこの放送をきっかけに、この本をもう一度読み返してみました。素晴らしい本だということはもちろんなのですが、若い頃とはまた違った、静かにじわじわと心に染み込んでいくような感覚を味わいました。

なかでも、「生きがい」は社会や人が与えることはできず、自ら発見していくもの。生きがいを見つけるときには、自分の身を自然の中に投げ出して、人間が自然や大地に生かされているという実感を得るところから始まる、という神谷の考え方には深く共感します。

 私自身もこれまで、かなしみや困難なことに直面したとき、まさにこんな感覚を得ながらまた生きがいを見出してきたような気がするのです。

機会があればぜひ皆さんにも読んでいただきたい本です。

 

        f:id:yuriclinic:20180620164134j:plain 

写真はベランダの紫陽花。深い紫のグラデーションがお気に入りです。

雨に濡れている姿がとても美しく、毎朝癒しを与えてくれます。

 

被災された方が少しでも早く、元の安らかな生活に戻れますように。

心よりお見舞いを申し上げます。

 

ゆりクリニック

院長 矢吹有里